フジは日本特産のツル性落葉樹で、本州、四国、九州に分布します。根は長くのびて空気を含む構造になっており、水中にあっても根腐れせず、日当たりのよい川辺や谷間などを好んで自生しています。
生長は旺盛で、ほかの樹木や建物に巻き付いて害を及ぼすこともありますが、優雅な花の房が下がる風情は春から初夏の代表的な花として山野を彩ります。昔から観賞されて歌に詠まれたり、物語に登場したり、家紋に使われるなどしてきました。
種類はノダフジとヤマフジに分けられます。ノダフジはツルが右巻きで、花房が1メートル近く垂れ下がります。これに対してヤマフジはツルが左巻きで、花房は30〜50センチと短く、あまり垂れ下がりません。
利用方法では緑陰づくりのフジ棚がよく知られているところですが、長くのびる柔軟なツルは、カゴや装飾など、いろいろな材料に使われています。
写真・文/斉城 巧(夜須高原記念の森)
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